赤ちゃんはいつから喋る？脳の発達や知っておきたい事アレコレ。

赤ちゃんの成長の中でも、「はじめて言葉を発した瞬間」は多くの親御さんにとって、とても感慨深い一大イベントです。「まだ喋らないけど大丈夫？」「何かサポートできることはある？」など、不安や疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか？
実際、当時息子が小さかったとき、僕もそうでした。
赤ちゃんの言語発達には個人差が大きく、周囲の助け方次第で変化が出ることもあります。本記事では、赤ちゃんの脳の発達過程から、言葉を喋り始める時期や月齢・年齢ごとの発話レベルの目安、そして親が気を付けるべきことやサポートできることまで、科学的な視点を交えながら詳しく解説していきますので、是非ご一読を。

1．赤ちゃんはいつから喋る？大まかな目安と気にすべきポイント

1-1．赤ちゃんが言葉を発する時期の一般的な目安

赤ちゃんが「意味のある言葉」を話し始めるのは、だいたい1歳前後といわれています。とはいえ、これはあくまでも平均的な目安であり、実際には早ければ9か月頃から話し始める子もいれば、1歳半～2歳になってからようやく単語を発する子もいます。個人差が非常に大きいため、あまり焦らず、赤ちゃんの様子をしっかり観察してあげることが大切です。

1-2．泣き声から始まる「コミュニケーション」の原点

実は、赤ちゃんは生まれた瞬間から泣くことで周囲に何らかの意思表示をしています。これも一つの「コミュニケーション」の形です。声を出して周囲が反応してくれると、赤ちゃんは「声を出すと何かが変わる」という経験を積み、徐々に言語能力へと発展していきます。

2．赤ちゃんの脳の発達と「言葉を話し始める」メカニズム

2-1．言語中枢の形成とシナプスの発達

赤ちゃんの脳は、生後急激に成長し、神経細胞同士のネットワーク（シナプス）が爆発的に増加します。言語能力に関与する脳の部位としては、「ブローカ野」や「ウェルニッケ野」と呼ばれる領域が有名です。ブローカ野は主に「発話を司る」機能を、ウェルニッケ野は「言語を理解する」機能を担っています。これらの神経回路が整っていく過程で、赤ちゃんは徐々に言葉を聞き取り、理解し、そして発するようになっていきます。

2-2．発達心理学から見る「言語取得」の流れ

発達心理学的には、赤ちゃんが言語を獲得していくプロセスは**「聴く → 理解する → 発する」**という段階を経ます。たとえば、最初は「喃語（なんご）」と呼ばれる、意味のないような「アー」「ブー」などの音を発しますが、これも言語発達の大切なステップです。周囲が喃語をポジティブに受け止め、楽しそうに返事をすることで、「コミュニケーション」に対するポジティブな感情が形成されていきます。

2-3．母語(第一言語)の刺激が大切

言葉を話し始めるためには、当たり前ですが言語刺激が必要です。赤ちゃんの脳は「よく聞く音」に対して敏感に発達していく特性があるため、家庭環境で話される言語やイントネーションが脳に刻まれていきます。逆に、あまり話しかけられなかったり、言語刺激が少ないと、話す時期がやや遅くなる可能性があります。

3．赤ちゃんが喋り始める平均月齢とは？

3-1．初語（意味のある言葉）のタイミング

多くの研究では、最初に意味のある言葉（「ママ」「パパ」「ブーブー（車）」「まんま（ごはん）」など）を発するのは1歳頃と言われます。しかしこれはあくまで統計的な平均値。赤ちゃんによっては10か月で発語する場合もあれば、1歳半～2歳を過ぎてからようやく単語を発する場合もあります。大切なのは、周囲の大人が過度に比較や焦りを持たずに見守ることです。

3-2．早い子はなぜ早い？遅い子との違い

「早い子」と「遅い子」の違いには、性格の違いや家庭環境、周囲の言語刺激の量など様々な要因が考えられます。また、運動発達が進んでいる時期は言語発達がゆるやかになるなど、赤ちゃんは複数の発達要素を同時に育んでいるため、一概に「遅い」「早い」だけで判断するのは難しいと言えます。

4．月齢・年齢ごとの発話レベルの目安

ここではあくまでも目安ですが、赤ちゃん～幼児の年齢別に、一般的にどのような発話レベルが期待されるかをまとめてみました。個人差は大きいため、参考程度にご覧ください。

4-1．0～3か月頃

• 発声・泣き声：お腹がすいた、眠いなどの生理的欲求による泣き声が主。
• 喃語の前段階：声を出して表情を変えるなど、周囲とのコミュニケーションが始まる。

4-2．4～6か月頃

• 喃語（なんご）が増える：「アー」「ウー」「ブー」など、意味のない音を繰り返す。
• 親の声や表情に反応して、笑ったり声を出したりする時間が増える。

4-3．7～9か月頃

• 指差しや声を出して意思表示：欲しいものがあるとき、両手を伸ばして「抱っこ」を求めたりする。
• 喃語がより多彩になり、「パパパ」「マママ」などの音が出やすくなる。

4-4．10～12か月頃（1歳前後）

• 初語の兆し：「ママ」「パパ」「まんま」など、特定の対象を指し示す言葉を話し始めることが多い。
• まだ意味がはっきりしないこともあるが、言葉と対象物を結びつける力が育ち始める。

4-5．1歳～1歳半

• 単語が増え始める：実際に口にする語彙数には個人差が大きいが、徐々に5～20語程度の単語を覚える子も。
• 「ちょうだい」「ないない」「バイバイ」などの簡単なフレーズやジェスチャーが組み合わさることも。

4-6．1歳半～2歳

• 二語文の出現：例えば、「ママ　きて」「ワンワン　いた！」など、単語を2つつなげて意思を表す。
• 語彙数がぐんと増え始める一方、まだ発音がはっきりしないことも多い。

4-7．2歳～3歳

• 文章らしい発話が増える：二語文から三語文へと発達し、「○○したい」など気持ちや欲求を表現し始める。
• 「どうして？」「なにこれ？」など、質問が増えてくる。

4-8．3歳以降

• 会話のやりとりがスムーズに：3歳頃になると、主語と述語をある程度意識した文章を話す子が増える。
• 自己主張が強くなったり、言葉のやりとりを楽しむ様子が見られるように。

5．親が気を付けるべきポイント

5-1．「早い・遅い」の比較で一喜一憂しない

先ほども触れたように、言語発達には個人差があります。友人の子やきょうだいと比べて「うちの子、まだ全然喋らない…」と焦りすぎるのはNG。月齢や年齢の目安はあるものの、一人ひとり異なるペースで成長していくのが自然です。大切なのは赤ちゃんの得意・不得意を見極めながら、楽しんでコミュニケーションをとることです。

5-2．聞き取りやすい言葉で話しかける

赤ちゃんに話しかける際は、ゆっくりはっきりとした発音で、声のトーンや表情を豊かにすることがおすすめです。意味が分からなくても、繰り返し耳で聞くことで赤ちゃんの脳は言語回路を作り上げていきます。

5-3．強制しない

「早くしゃべってほしい」と願うあまり、過度に練習させたり無理に言葉を言わせようとすると、かえってコミュニケーションが苦痛に感じてしまう恐れがあります。言語は自然に身につくものであり、赤ちゃん自身が興味を持っているタイミングを大事にしましょう。

5-4．必要に応じて専門家に相談

1歳半～2歳を過ぎても「全く言葉が出ない」「言葉の理解があまり見られない」という場合は、小児科や自治体の保健センターなどで相談してみるのも一つの手です。専門家が客観的に発達段階を評価してくれるので、早期に必要なサポートが得られるかもしれません。

6．赤ちゃんの言語発達をサポートする方法

6-1．たくさん話しかける・読み聞かせをする

赤ちゃんにとって、言語刺激をたくさん受けることはとても大切です。絵本の読み聞かせはもちろん、日常会話の中でも「今からお風呂入るよ」「ごはん食べようか」など、こまめに声掛けしてあげることで語彙や表現を自然にインプットさせることができます。

• ポイント：読み聞かせの際は、絵を指さしながら「わんわんだね」「かわいいね」など、情緒的なやり取りを入れると、より興味を惹きやすいです。

6-2．ジェスチャーや表情でのコミュニケーションを増やす

まだうまく言葉が出ない時期は、ジェスチャーや身振りを使ってコミュニケーションをとることで、赤ちゃんが「伝わった！」という成功体験を味わいやすくなります。成功体験は言語発達にも好影響を与えるので、たとえば「バイバイ」「もっとちょうだい」など、簡単な動作を繰り返し楽しく教えてあげるとよいでしょう。

6-3．赤ちゃんの声に反応する

赤ちゃんが声を出したり、喃語を言ったりしたら、すかさず反応してあげることが大切です。「おしゃべりできてすごいね」「いま『あー』って言ったね」など、ポジティブなリアクションを繰り返すことで、赤ちゃんは「声を出すと反応が返ってくるんだ」という感覚を身につけ、言葉への興味も高まります。

6-4．コミュニケーションを繰り返し、安心感を育む

赤ちゃんが言葉を身につけるためには、コミュニケーションにおける安心感や信頼感も重要です。抱っこをして落ち着かせながら話しかけたり、スキンシップをしながら声をかけたりすることで、赤ちゃんは「周りの大人は自分を大切にしてくれている」「言葉を発すると楽しいやりとりがある」といった肯定的な感覚を得ます。これがまた、言語発達を促進する土台となります。

6-5．兄弟姉妹や同年代の子どもとの交流

保育園や子育て支援センター、地域の子育てサークルなど、同年代の子どもとの遊びを通じて、互いに刺激を受け合いながら言葉を覚えていくことも多いです。兄弟姉妹がいれば、自然と一緒に遊ぶなかで言葉を真似する場面が増えます。家庭外でも積極的に交流の場を持つことで、赤ちゃんの社会性やコミュニケーション能力の発達をサポートできます。

7．まとめ：赤ちゃんの言語発達を温かく見守ろう

赤ちゃんが「いつから喋るか」は、脳の発達や周囲の言語刺激、さらには個々の性格や成長ペースなど、さまざまな要因が関わってきます。平均的には1歳前後に初語が聞かれることが多いものの、実際には早い子もいれば遅い子もいるのが自然です。周囲の大人ができることは、たくさん話しかけてあげることや赤ちゃんの声にきちんと反応すること、そして無理なく楽しくコミュニケーションを続けること。

もし1歳半を過ぎても全く言葉が出なかったり、言葉の理解が遅れていると感じる場合には、専門家への相談を検討してもよいでしょう。
いずれにせよ、赤ちゃんの言葉の発達は「個性」でもあります。早い・遅いの比較に振り回されることなく、今の時期ならではの可愛らしいやり取りをめいっぱい楽しみながら、温かく見守ってあげてくださいね。

赤ちゃんの言葉の発達は、本当に十人十色。比較や周囲の声にとらわれるのではなく、赤ちゃんの個性を尊重しながら、豊かなコミュニケーションを楽しんであげることがいちばん大切です。ぜひ本記事を参考に、焦らずゆったりとした気持ちで、赤ちゃんの「はじめての言葉」を待ってみてください。

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